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本日リユースブックストアで「海皇紀 コミックセット」 を買取致しました。

 

『修羅の門』及び『修羅の刻』でお馴染みの川原正敏先生の力作です。少女と壮年の男性が人探しの旅をしているシーンから物語は幕を開けます。舞台設定は現在からはるか未来、科学技術が失われて久しい地球、主に現代の東南アジアから西ヨーロッパ、及び太平洋、インド洋、地中海あたりをイメージしているものと想定されます。ロストテクノロジーの世界であるがために、未来でありながらどこか中世的な空気を醸し出しています。

 

さて、先に触れた二人が旅をしている途中で、ある男性が港で賊に襲われる場面に遭遇します。襲われた男性はカザル・シェイ・ロン。ウォルハンという極東の小国の王でした。従者を失うもののカザルは何とか賊の数人を返り討ちにしますが、有名な傭兵と対峙する危機に陥ります。しかし、壮年の男性——大陸一の兵法者と噂されるトゥバン・サノオ——と、この襲撃場面をのんびりと観覧しようとしたファン・ガンマ・ビゼンと名乗る、ニホントウを背にした「海の一族」と呼ばれる、海洋の大部分を支配している一族の男によってこの危機を脱します。そしてその場面に立ち会っていた少女、マイア・スアルはファンに人探しの助力を依頼します。ここから大海原を舞台にした旅は始まるのでした。

 

『修羅の門』でエキサイティングな格闘シーンを描くことで定評のある作者の長編ということで、同じく格闘シーンに注目が集まるかもしれません。本作はもちろんそのシーンも魅力ではあるのですが、本作で刮目して見るべきはそこではなく、むしろ詳細な海、及び船の描写です。艦船同士の戦闘シーンや嵐の際の船の操舵の描写はとてもワクワク、そしてハラハラします。商船高校出身の作者の面目躍如とするところです。ただ、一般人にはわかりづらい用語があり、そこは少し解説が欲しかったかなと思います。(途中からコマ外に注釈が入るようになりましたが。)

 

コマ割の特徴として、1ページを横全面縦3~5コマ程度に割って使用することが非常に多いです。つまり、比較的大ゴマが多く、描き込みが多くなってもすっきりと読みやすいです。また、コマが少ないこともあり、さくさくと読み進められます。作者の他作品にも共通することですが、描き文字が非常に少なく(効果音等もフォントを変えた吹き出しで表現されます)、読んでいて疲れることも少なく、長時間読み進められます。気づけばこの世界に引き込まれて、何時間も読んでいた……ということもあります。

 

また、1ページ3~4コマ、見開き6~8コマで登場人物が各コマ一人ずつ描かれ、口を大きく開けて何かをしゃべっているようでありますが吹き出しがない(一切文字がない)、という描写が中盤以降しばしば用いられます。彼らが何を話しているのか、想像力をかきたてられずにはおられません。

 

さて、港でカザルを危機から救い出したファンは、そのままカザルが希望する隣国クアラへの訪問を自身が艦長を務める船——海の一族の守護神とも称される「影船」——で叶えます。クアラを訪れた際、カザルはクアラの将軍の首級を得るのですが、カザルは帰国するや否や、将軍の弔い合戦として攻めてくるクアラを迎え撃つべく、直ちに出陣します。クアラ海軍はウォルハンを挟撃すべく出陣しますが、これをファンは手玉に取り、壊滅させます。世に数振りしか残されていないとされるニホントウ(ファンのファミリーネームから、備前長船をイメージされているのでしょうか? 刀剣に明るくないので不明ですが……)の切れ味の凄まじさをぜひご覧ください!

 

陸ではカザル率いるウォルハン軍がクアラ軍を退け、その王の首級を得ます。その勢いのまま、ウォルハンはさらに西へ勢力を伸ばしていくことになりますがそれは少し先のお話です。

さて、クアラ海軍を退けたファンはある港町に寄港した後、グリハラという、東の海洋にあるとされる島を目指します。これは、物語の冒頭でマイアとトゥバン・サノオが訪れた魔導士に、「人ならばアナハラムを、土地ならばグリハラを訪ねよ」と助言されたことに基づいています。グリハラに何があり、マイアは何故に、何を探し求めているというのでしょうか。そしてそこではどのような試練がファンやマイアたちを待ち受けているのでしょうか。そして続々と現れる強敵に、ファンや大陸一の兵法者、トゥバン・サノオはどのように対峙するのでしょうか。陸での戦いも、洋上での艦船の戦いも、どちらも興奮すること請け合いです!

 

出会いと別れを繰り返しながら進む本作品は、そのまま別人生を体験できる名作です。夜のお供に、日常に疲れてふと冒険をしたくなったときに、あなたのおそばにいかがでしょうか。

 

リユースブックストアでは「海皇紀 コミックセット」をはじめとするコミックセットを買取致しております。

 

読み終わった本などがあればぜひリユースブックストアにお持ちください!

 

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