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本日リユースブックストアで「宝石の国 コミックセット」 を買取致しました。

宝石の国

遠い未来、不死のカラダを持つ宝石たちと、そのカラダを奪うために襲い来る月人との戦いが描かれている作品です。
単行本が発売された2013年の年末に発表された「このマンガがすごい!2014年」のオトコ編第10位に早くもランクインし、2017年にはテレビアニメ化をするなど、今なお注目を集め人気の高い作品となっています。

作者の市川春子さんは、もともと雑誌や書籍をデザイン的に美しく、かつ読みやすいように編集を行うエディトルデザイナーをしていらっしゃった方で、ある日ふと、自分の考えを全部盛り込んだものをひとりで企画、編集、デザインまでやったら楽しそうだなと思い、マンガを描き始めたそうです。そのため、『宝石の国』の装丁は、割れた宝石の断面のように全体が輝き、角度によって様々な色を見せてくれます。ただ光っているだけではなく、表紙に登場するキャラクターたちの表情やそ絵の配色と相まってどこか儚さを感じるものとなっています。購入をお考えの方は、ぜひ電子ではなく、紙媒体での購入をお勧めします。
市川春子さんの作品は、短編集『虫と歌 市川春子作品集』(講談社)や『25 時のバカンス 市川春子作品集Ⅱ』(講談社)を読んだことがある人には分かるかと思いますが、人間ではない生命体を扱っている作品が多く、その生きている様が時に強く時にもろく切なく描かれています。

『宝石の国』では、そのタイトル通りカラダが宝石でできた主人公とその仲間達の物語です。
宝石たちは、それぞれ役割が与えられ、宝石たちを攫いにくる月人えと戦うもの、見回りをするもの、衣装を担当するもの、紙を作るものなど、たくさんの仕事をもって生活しています。
主人公のフォスフォフィライトは、宝石たちの中でも一番年下で、硬度が低く脆い上に不器用なため、他の宝石達のように仕事をこなせず、不満な毎日を送っていました。
1巻では、そんなフォスに博物誌作成の仕事が任せられます。
月人との戦闘を望んでいたフォスは、気分が乗らないままその仕事を実行するために、草原を歩いてみたり、宝石たちに相談したりと奔走します。
そこで、見えてくる彼らの生態や感情がとても美しく描かれています。
1巻に登場するシンシャは、硬度が主人公のフォスより低いにも関わらず、月人との戦闘の可能性がある見回りを任せられていました。

しかし、彼が担当するのは夜のみです。夜に月人が現れたことはありませんでした。シンシャには、体から毒液を分泌するという特異体質がありました。その威力は草木を駄目にし、仲間の体にさえ害を与えてしまうものでした。宝石たちは、シンシャの力を恐れ、事実上夜に閉じ込めてしまっていたのです。シンシャ自身もそのことを理解しており、自ら仲間と離れて過ごすことを選んでいました。無鉄砲で不器用なフォスに、シンシャは月に拐われることを望んでいると明かします。それほどまでに深い孤独の中にいると知ったフォスは去りゆく彼の背中に叫びます。「君にしかできない仕事を見つける」「だから月に行くなんて言うなよ」
この出来事を機に、フォスは大きく自分の運命を変えていくことになります。

宝石たちは、不死です。たとえ、月人に足を折られて持っていかれても、他の宝石をくっつけることができれば再びその足で地を駆けることができます。フォスは何度となく体を壊し、削られ、その度に、他の宝石で代用します。ただ、自身の宝石の部分が少なるにつれ、独特の話し方だったフォスがだんだんと敬語を使うようになり、大胆で表情豊かだった彼がだんだんと満面の笑みを忘れていく姿にとても切なさを覚えました。
フォスやシンシャだけでなく、それぞれの宝石たちにも物語があり、読めば読むほど魅了されていく作品です。
硬度は高いものの一定の方向に割れやすいダイヤモンドは、パートナーの硬度も戦闘も随一のボルツに憧れ、その反面「強ければ意味がない」とボルツのように戦えない自分を不甲斐なく思い、ボルツに対しても憎しみを持つようになります。
にこにこと穏やかに笑う笑顔の下で、愛している弟なのに、近くにいすぎて愛せないと悩むダイヤモンドには心を打つものがあります。

そして最大の謎、月人がなぜ宝石達を襲いにくるのか、その真相が徐々に明らかになっていきます。

フォスは、月人がただ自分たちを攫っているわけではないと気付き、その真意を探るべく、月人と会話することを望み始めます。
その結果、月に行くことを決意し、その旨をシンシャに伝えに行きます。シンシャはそれを聞き戸惑いました。月に拐われ戻って来た宝石たちの前例はないことを知っている彼は、去り行くフォスの背中に言います。「行くな!」と。月に行くことを望んでいたシンシャからの真逆の一言に、フォスは聞こえないふりをして、次の戦闘を待ち、月へ自ら連れ去られていきます。

現在発売されている8巻では、月人との接触が描かれています。
なぜ月人は宝石たちを拐わなければならなかったのか。連れ去られた仲間がどんな末路をたどったのかが描かれています。
宝石たちの強くてもろくて美しい戦いをぜひ一度堪能してみてください。

リユースブックストアでは「宝石の国 コミックセット」をはじめとするコミックセットを買取致しております。
読み終わった本などがあればぜひリユースブックストアにお持ちください!

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