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本日リユースブックストアで「夏目友人帳 コミックセット」 を買取致しました。

 

普通の人には見えない存在、あやかし。生まれつきそんな妖怪たちが見えてしまうせいでずっと一人ぼっちだった主人公、夏目貴志。つかず離れず、人間と妖怪のどちらにも偏りすぎずに日々を送る夏目と、彼を取り巻く世界を切り取った「非」日常系短編連作ストーリー。

アニメは第六シーズンまで放映され、劇場版も放映されるほどの人気作です。

 

天涯孤独の身の上で、例によって親族をたらいまわしにされた末に辿り着いた今の家。祖母の地元なのだというそこは素朴な景色の広がる田舎町で、基本的に物語はここを舞台に繰り広げられていきます。行く先々で気味の悪い変人だと嫌がられ、友達もできないままに過ごしてきた夏目から見ても「いい人」「優しい人」である引き取り手の新しい家族。今度こそ普通に暮らすんだ、と決意を固める夏目ですが、何故か祖母の名前を呼ぶ妖怪たちが次々と現れては「友人帳」をよこせと詰め寄ってきます。哀れを誘うようにいじらしく訴える者もいれば、問答無用で襲い掛かってくるものも。一体何事かと夏目が話を聞くに、とうに故人である祖母・レイコは妖怪たちに勝負をふっかけては名前を奪い、「友人帳」にしたためて自分の子分にしていたのだという。持ち主は名を奪われた妖怪たちの主のようなものになるため、力を欲するものも友人帳を求めてやってくる上、名前を返してもらうために訪れるため夏目の毎日は妖怪だらけ!そこに、封印されていた大妖怪が用心棒として夏目の傍に付き従うとあって、人と関わるよりも妖怪と過ごしている時間の方が長いほど。評判を聞きつけ次から次へと現れる彼らに振り回される夏目、という構図が王道パターンに。

 

一方で、通っている学校では妖怪が見えることを伏せているため、初めての人間の友達を作ることにも成功します。今まで、妖怪が見えるせいで「おかしな子」として腫れ物に触るように扱われてきた夏目が家庭でも、学校でも、ようやく手に入れた「普通」の共同体における居場所。自らも人間であるため大切にしなくてはいけないと強く自覚をしながらも、否が応にも巻き込まれてゆく友人帳絡みの妖怪の世界。妖怪が見えるせいで被ってきた苦い思い出から彼らと関わることも極力避けて生きてきた夏目が、生まれて初めて人間とも、妖怪とも深く付き合うことで少しずつ広がってゆく世界を綴った本作は、少し寂しく、どこか懐かしい、愛おしい日々の欠片そのものなのです。

 

偶然出会ったり、自分から出向いたり、向こうから訪ねてきたり……様々な出会い方をする妖怪たちは、みな個性豊か!目が一つだったり、不思議な形をしていたり、獣のように見えたり、はたまた人間のように見えたり……作中には様々な妖怪が登場します。可愛らしい姿のものもいれば、恐ろしい姿のものもいる。綺麗な姿をした妖怪ばかり登場する作品も多い中で、「恐ろしい化け物」としての妖怪の姿を忘れない点にリアリティを感じます。

人とは違う理と時間で生きている彼らは、ものの考え方や理屈が全く違うため噛み合わないこともしばしば。ですが、必ずしも分かり合えないわけではなく、たまに交わることもある。そうして妖怪と触れ合いを続けていくうちに、夏目は「それは人も同じなのだ」ということに気付きます。しかし人間としての交友関係だけではなく、妖怪に情を移し、何くれとなく世話を焼いて首を突っ込んでしまう姿を心配する声も上がり始め……

人間のことを嫌いだと言う妖怪も多い中、うまく付き合い続ける夏目。人も妖怪も関係なく他者との交流だと受け止めているような彼だからこそ、妖怪も心を開き対話に応じてくれるのかもしれません。どちらにも混じりきれない夏目はそれゆえ浮いた存在にもなりますが、だからこそ架け橋にもなれる。危なっかしい部分は多いものの、そんな希望を持たせてくれる主人公です。

 

他者とのつながりを魅せてくれる作品の魅力は、ストーリーだけではありません。各話の見せ場でもある「名前を返す」シーンは神秘的にして静謐な雰囲気を漂わせ、その反面ニャンコ先生とのコミカルな掛け合いはばたばたと賑やか。このギャップ、温度差が作品にメリハリを与えています。静と動の使い分けが非常に巧みなのです。

全体的に描線は細く、画風が繊細なためにどことなく無機質で静かな印象を与えます。描かれる風景は田舎ののどかな景色で、都会のようにごちゃごちゃとしすぎていないため贅沢に余白が使われています。画面はすっきりとしていて、良い意味で空気感がある。主人公の夏目も元来大騒ぎするようなタイプではないためモノローグもしっとりした雰囲気が出ていますが、だからこそ妖怪や人間の友人たちがもたらず「動」が光るのです。今まで凪いだ世界に生きてきた「静」しか知らない夏目が、「動」に巻き込まれ、次第に感化されていく姿は微笑ましく、祝福したいと思わせるもの。

 

強大な敵もなく、強い思慕の発露もなく、ただゆるりと流れていく時間の中で繰り返す出会いと別れを綴った風情に溢れる作品。どこか懐かしい空気は読んでいても居心地がよく、読後の余韻に浸りたい方におすすめの一冊です。

 

リユースブックストアでは「夏目友人帳 コミックセット」をはじめとするコミックセットを買取致しております。

 

読み終わった本などがあればぜひリユースブックストアにお持ちください!

 

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