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本日リユースブックストアで「ONE OUTS コミックセット」 を買取致しました。

 

球界屈指の名打者、埼京彩球リカオンズの児島弘道——数多くのタイトルを手にしながら、未だかつて優勝を経験したことのない彼は、沖縄で自主トレを行っている際にある投手と出会います。ワンナウトという賭け野球で活躍するその投手、渡久地東亜はストレートしか投げられず、かといって速い球を投げるわけでもありません。せいぜい中学生が投げる程度の球速でした。にもかかわらず、打たれないのです。悪魔のような洞察力を武器に、賭け野球において渡久地は児島に勝利します。

 

渡久地にまさかの敗北を喫した児島は、無の境地に達する為に山に籠り、一心不乱に薪を割り続けます。そして渡久地に再戦を申し込み、山を降りるその直前に児島は手首に怪我を負ってしまうのです。再度の勝負の行方は——

 

本作品は、通常の野球漫画とはかなり色を異にします。多くの野球漫画が、主人公が投手であれば投げる球は剛速球、多彩な変化球を自在に操り打者をきりきり舞いとさせる——打者であれば打率は非常に高く、必要とされる時にはホームランを放つ、そんなある意味において超人的な性質を持っています。野球漫画のお約束です。もちろん、本作品においても主人公は超人的ではあるのです、それはただコントロールと洞察力・観察力においてのみです。正確には超人的なスキルはもう1点あるのですが、それは作品を読んでのお楽しみとしてください。圧倒的な力で相手をねじ伏せる、という描写は本作の主人公にあっては一切ありません。(主人公ではない児島や、敵役にはそのような描写がしばしばあるにもかかわらず。)

 

リカオンズを優勝させるため児島によってプロ野球の世界へと連れてこられた渡久地は、リカオンズのオーナー、彩川恒夫にある契約を持ち掛けます。ONE OUTS契約——ワンナウト取るごとに500万が支払われ、1失点ごとに5000万を支払わなければならないという完全歩合制契約です。(もちろん完全歩合制は野球協約で禁じられています。)防御率2.70の投手でようやくプラスマイナスゼロになるというこの契約を、どうせすぐに泣きついてくるだろうという予測をもって彩川は渡久地と締結します。ここから、プロ野球界での渡久地の快進撃は始まるのでした。

 

ところで、本作品の連載中に一つの事件がありました。近鉄バファローズの経営不振に端を発する球界再編問題です。リカオンズは通常では考えられない高額となった渡久地とのONE OUTS契約が原因で消滅の危機を迎えます。連載開始当初にこの設定がどこまで考えられていたのかは不明ではあります(オーナーの交代は設定されていた可能性が高い)が、上手に時事問題と組み合わせた好例といえましょう。

 

渡久地は、実はリカオンズを買収しようとするトロンポスと手を組んでいました。ところが、トロンポスは、リカオンズを買収はするが中の選手の総入れ替えを行う方針であったため、渡久地はこれを受け入れず、トロンポス以上の金額を出してリカオンズの経営権を獲得します。こうしてリカオンズの選手兼オーナーとなった渡久地は、このチームを優勝させるため、観客の投票によって選手の報酬を決定するLチケットシステムの考案をはじめとして負け癖のついた選手たちの意識改革を行うのです。(このLチケットは、同作者の『LIAR GAME』にも登場します。)Lチケットの導入によってチームワークの真の意味——「みんなが」ではなく「俺が」やるとメンバー全員が考えたらもの凄いパワーになる——に気づいた選手たちは、シーズン序盤最下位であったチームを二位にまで押し上げます。

 

余談ではありますが、乃木坂太郎『医龍』小学館において、主人公、朝田龍太郎は次のように言います。「誰かが助けてくれるのがチームじゃねえ。死にものぐるいで全員の役に立とうとするのがチームだ。」(単行本第四巻、10-11頁)ジャンルは全く異なる漫画であるものの、チームワークについて同様のニュアンスのことを書いており興味深いです。

 

話を本作品に戻しましょう。首位千葉マリナーズと1.5ゲーム差の二位で迎えた最終五連戦。四勝一敗以上でなければ優勝はない。その初戦で満を持して先発した渡久地でしたが、マリナーズの強力打線にまさかの滅多打ちにあい、大敗を喫します。エース渡久地を擁しての惨敗に、マジック1としたマリナーズ相手にリカオンズは残り試合を敗戦ムードで……と思いきや、リカオンズ選手会長で捕手の出口は断言します。「優勝するのは僕たちです」と。果たして勝負の行方は如何に——。人間の心理を巧みに描くことでは『LIAR GAME』でも定評のある作者の作品です。是非読み込んでみてください。

 

なお、本作品は全20巻ですが、本編は19巻までです。20巻は番外編としてオールスター編が掲載されています。

 

リユースブックストアでは「ONE OUTS コミックセット」をはじめとするコミックセットを買取致しております。

 

読み終わった本などがあればぜひリユースブックストアにお持ちください!

 

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