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本日リユースブックストアで「ピアノの森 コミックセット」 を買取致しました。

 

 

「森の端」と呼ばれる、法律が通用しないとまでいわれる歓楽街で生まれ育った、女の子と見紛うような美しい少年、一ノ瀬海。彼が暮らす部屋の真下の森にはピアノがありました。誰も音を出せない「森のピアノ」でしたが、ただ一人、一ノ瀬だけが音を出すことができていました。

 ある日、森脇小学校の一ノ瀬のクラスに転校生がやってきます。転校生の名は雨宮修平。有名ピアニストの一人息子で、彼自身もピアノを弾くのでした。一ノ瀬が弾けるという「森のピアノ」が弾けないことに少なからずショックを受けましたが、一ノ瀬に普通のピアノを弾かせようとすると彼はまったくまともに弾けませんでした。このことに雨宮の頭はこんがらがります。

 

さて、森脇小学校の音楽の先生は阿字野壮介という人物でした。阿字野は世界的に有名なピアニストでしたが、15年ほど前に不慮の事故に遭い左手に後遺症が残り、うまくピアノが弾けなくなってしまっていたのです。その阿字野がアレンジした曲を、一ノ瀬は雨宮の前で披露します。その後、小学校の音楽の先生が阿字野だと知った雨宮の母——ちょうど世代的にも当時の阿字野を知っていましたし、何より彼女は阿字野のピアノに憧れていた音大生の一人でした——は雨宮を阿字野に弟子入りさせてもらえるよう懇願しますが、阿字野は弟子をとったこともないしとることもないと、その申し出を断ります。しかし、雨宮の母は、阿字野にこう食い下がります。「もうすでに一人個人的に教えてらっしゃるじゃありませんか!」と。阿字野は何のことかわからないと答えますが、彼女は一ノ瀬の名前を阿字野に告げると動揺を隠し切れず、森に確かめに行きます。

 

森で一ノ瀬の弾くピアノを聴いた阿字野は、自分がアレンジした曲を弾く一ノ瀬が奏でるその音色に衝撃を受け、「一緒にピアノをやらないか」と誘います。紆余曲折の末、一ノ瀬は阿字野に一時的に弟子入りするのですが、弟子をとることはないと雨宮の母に断言した阿字野は何故一ノ瀬を弟子入りさせたのでしょうか。その理由は作品の中でお確かめください。管楽器ではありますが音楽を趣味でやっている評者からしますと、一度聴いただけで曲を記憶できるというのは羨ましい限りです。その才能に嫉妬してしまいます。

 

一ノ瀬を弟子入りさせた阿字野は、一ノ瀬を全日本学生ピアノコンクールという、権威あるコンクールに出場させます。そのコンクールは雨宮も出場するコンクールで、二人はライバルとなります。コンクールの課題曲はモーツァルトのピアノソナタヘ長調K280、雨宮が一ノ瀬の前で披露した曲です。そのコンクールの地区予選で、二人はどのようなモーツァルトを奏でるのでしょうか。

 

さて、コンクールが終わり、予選通過とならなかった一ノ瀬は恐らく本人が当初考えてもいなかったショックを受けます。阿字野は一ノ瀬の母に「息子さんを私に預けていただけませんか!?」と口説きかけます。観衆の前でピアノを奏でる喜び・楽しみを知った一ノ瀬はピアノが弾きたくてたまらないのですが、森のピアノは徐々に音を失っていき、ついには落雷で焼失します。ピアノがなくなってしまった一ノ瀬は、「森の端」で仕事に打ち込みますが、ある日運送屋に連れられて街に出た際に、ホコ天でアクリル製のピアノを弾く機会を得ます。聴衆からの歓声に包まれた一ノ瀬は、やはりピアノがないと生きていけないと悟り、正式に阿字野に弟子入りします。雨宮は先の全日本学生コンクールの全国大会で優勝した後、海外へ留学します。

 

五年後、二人が高校生になった頃、二人は再開します。雨宮はある映像を見てからスランプに陥っていました。そのスランプの原因となった一ノ瀬に会うために、雨宮は留学先から帰国するのです。そこで雨宮が見た一ノ瀬の姿はどのようなものだったのでしょうか。

 

二人はその後、実際にもピアニストの登竜門として有名なショパン国際ピアノコンクールを目指し、練習に励みます。ポーランドが産んだ大作曲家、ショパン。その音楽を二人やその魅力あるライバルたちはどのように奏でるのでしょう。舞台がポーランドに移った後、ゴシップ誌の記者が登場します。この記者はかなり不愉快な人物ではありますが、物語の味付けとして受け入れてください。

 

本作は、音楽を生み出す人間の葛藤というものを巧みに描き出します。阿字野は小学校時代の雨宮と別れる際、「キミはもっと自分のピアノを好きになった方がいい!」と助言しますが、そう割り切るのはなかなか難しいものであろうとおもいます。だからこそ、雨宮は高校生の年齢になってさえ未だ悩み続けているのです。音楽をする上での光の側面ばかりでなく、その苦悩を正面から剔抉します。

苦悩があるからこそ、それを乗り越えた時に奏でる音楽がより美しく、聴衆の心を打つのだということをわたしたちに知らしめます。そして最終回、涙なくして読むことはできません。

 

クラシック音楽を奏でる方も、聴く方も、まったく興味のない方も、是非一読をおすすめいたします。

 

リユースブックストアでは「ピアノの森 コミックセット」をはじめとするコミックセットを買取致しております。

 

読み終わった本などがあればぜひリユースブックストアにお持ちください!

 

 

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